戦後復員した漆芸家・明石朴景(あかし ぼっけい)は、昭和21(1947)年2月、窪田良次、加島信夫、真子実也、三村比呂志とともに〈工芸七彩会〉を結成し、昭和24(1949)年1月には坂根博、酒井敬之助、大島唯史の入会と共に、会の名称を〈うるみ会〉に変更しました。
「うるみ」とは、朱と黒の間の漆独特の色合いのことで、主宰者・明石朴景による造語です。「新しい泉を掘ろうと集った同人達 泉は掘りはじめは汚い水も出るが次第に清い水がでる 明るい新しい工芸を創ろう そして一つ掘れ終れば他のものを掘る」をスローガンに、〈うるみ会〉は研究会や展覧会の開催、パネル作品の創案など、若手工芸家たちによる個性を重視した意欲的な創作活動を展開し、日展特選受賞者を輩出するなどの成果を上げながら、戦後香川の漆芸界をリードしました。
このたびの展示では、旧態依然とした漆芸のイメージを払拭し、時代に即した明るく新しい漆工芸を追求した明石朴景と〈うるみ会〉の作家8名による作品20点をご紹介します。