光と影で表現する「影絵」。影絵を芸術として広く浸透させた作家が藤城清治です。あらゆる分野で幅広い制作活動を続ける藤城清治の作品は必ずどこかでご覧いただいていることでしょう。
1924年、東京に生まれた藤城清治は、ジャワ島の影絵人形に魅せられ、影絵の制作を始めました。黒を生かしたモダンな作風は、いつの時代も変わることなく人気を集めており、どの作品も懐かしさだけでなく、新鮮な気持ちも呼び起こします。
童話の世界や郷愁を誘う風俗、景色を、幻想的な色彩のシルエットで描く作品は高く評価され、1989年には紫綬褒章、1995年には勲四等を受章しています。
本展は、作家本人の所蔵品を中心に、戦後まもない頃のモノクロ作品から本展覧会を記念して作成した新作までの作品約100点を選りすぐりました。また、本展にのみ出品される縦3m、横4.3mの「愛の泉」は、展覧会終了後カルピス株式会社に所蔵されます。
2004年4月に傘寿(80歳)を迎えたのを記念して開催する本展は、まさに藤城清治の集大成となる本格的な展覧会となります。