今竹七郎は、メンソレータムのロゴマークをはじめ、数多くの優れたデザインを手掛けた、グラフィックデザイナーです。1905年に神戸市に生まれ、関西を拠点に活躍し、2000(平成12)年に94歳で亡くなるまで、生涯のほとんどを西宮で過ごしました。
1920年代後半から神戸大丸を皮切りにデザインの仕事を手掛ける一方、1931(昭和6)年には「油彩の角度からも造形基本を?」むため、関西画壇の重鎮、洋画家林重義に入門します。以後はデザインと平行して絵画も制作し、春陽会を中心に出品を続けました。こうした姿勢は、彼のデザインも純粋美術も根底は同じとする「綜合美術」の考え方によるものでした。
今竹は自ら絵画制作の展開を七期に分け、それぞれ、自然主義的写実期、抽象(幾何学)期、抽象(アンフォルメル)期、レリーフ形式の「虚像と実像」期、フロッタージュ導入期、ジョコンダ期、展開期と分類しました。
この展覧会では、「今竹七郎の絵画」と題して初期(自然主義的写実期)から晩年(展開期)にいたる作品を紹介いたします。