高知県香北町出身のやなせたかしは東京高等工芸学校図案科(現千葉大工学部)を卒業後、東京田辺製薬に入社、宣伝部に所属しデザイナーとしての活動を開始します。戦争中、デザイナー活動は中断しますが、戦後、三越に入社し宣伝部で再び活動を開始します。また、現在も使われている同社のロゴを制作しています。三越を離れた後は漫画家、舞台美術家、シナリオ制作など多方面にその才能を発揮、この頃に作詞した『手のひらを太陽に』は今も多くの人々に歌い継がれています。
やなせといえば「アンパンマン」と声が返ってくるほど「アンパンマン」シリーズは愛されていますが、そのアンパンマンが誕生したのは昭和43年、今から37年前のこと。雑誌『PHP』に大人のための連作童話『十二の真珠』を発表、そのひとつが「アンパンマン」でした。その後「アンパンマン」の絵本はシリーズ化し、日本中で愛されています。
「アンパンマン」が世に出て間もなく、やなせはもうひとつの大きな仕事、雑誌『詩とメルヘン』(サンリオ)の創刊に携わります。そして、一昨年の最終号(385号)まで編集長として活躍しました。各号の表紙はやなせの作品で飾られ、この本の中のやなせは「アンパンマン」の世界とは別の、もっと大人のやなせたかしを表現しています。
本展覧会では、これらの幅広い活躍を紹介するべく、アンパンマンの書き下ろし作品、絵本原画、雑誌『詩とメルヘン』表紙原画、やなせの直筆による自作詩の紹介など150点の作品を紹介します。