長沼守敬、萬鉄五郎、堀江尚志、橋本八百二、松本竣介、舟越保武・・・・、北の大地・岩手は、東北はもとより、全国的にも、個性的、先進的な美術家を数多く輩出してきた特異な地方といっても過言ではありません。今日においても、盛岡を中心に、多くの美術家が育ち、活動を展開しております。また、たとえこの地を遠く離れ、活動していたとしても、岩手とのかかわりを濃厚に保ちながら制作している美術家が少なくないのも特徴のひとつです。「なぜ、岩手は沢山の絵描きがいるの?」とか「岩手といえば、軍人、政治家、画家」といわれるほど、昔から、多くの美術家を輩出してきました。
そこで、今回、萬鉄五郎記念美術館、もりおか啄木・賢治青春館、石神の丘美術館の3館は、「いわて近代洋画100年展」を企画しました。明治にはいり西欧文化の受容に始まった日本の近代化は、美術においても例外ではありませんでした。それでは、地方文化はどうだったのでしょうか?岩手における近代化100年を、洋画の世界から見直そうとするのが今回の企画です。
日本近代洋画を代表する、萬鉄五郎や松本竣介もさることながら、彼らを支え、育んだ土壌をつくりあげた画家、また、地方にとどまり、個性的な活動を展開してきた画家というように、岩手の洋画史をかたちづくった、さまざまな画家たちの痕跡を拾い集めながら、岩手の洋画史をたどってみたいと思います。