この度の春季展では茶席で使われる「香合」と、茶席で実際に進行する茶会の中での香合をご紹介するために、濃茶・薄茶のお道具組をあわせてご覧いただく展覧会を開催いたします。
「香合」は白檀などの香木や練香(ねりこう)を収めるケースとして利用される、小型の合子(ごうす)です。現在の茶席では炭手前(すみでまえ)に持ち出されるか、または床に飾られます。また、季節によって素材が替わり、炉(11月~4月)では陶磁器、風炉(5月~10月)では塗り物が原則となっています。
径が5cm程度の非常に小さくかわいらしい作品ですが、陶磁器では染付(そめつけ)、交趾(こうち)、色絵などがあり、塗り物も蒔絵や堆朱(ついしゅ)とバラエティに富んでいます。デザインも故事来歴に由来するものから、植物や動物の形をあしらった物とご覧になるだけで楽しいものです。
手のひらにすっぽりと収まるようなかわいらしい作品の数々を、当館所蔵の茶碗や茶入等の名品とともにゆっくりと味わっていただければ幸いです。