中国民窯の雄といわれる磁州窯は、宋代に発展し、金・元・明代にかけて盛んに焼造され多くの名品を遺しました。その最大の特色は、鉄分の多い粘土で成形した器を白土で覆い、黒色や褐色の装飾を施した、素朴で力強い作風にあります。最も優れた作品の一群は、宮廷にも取り入れられましたが、このやきものを支持し発展させたのは、中国華北地方の庶民でした。今回は、出光コレクションの磁州窯陶器に館外の重要文化財数点を加え、名品を鑑賞しながら、庶民に育てられた磁州窯のやきものの魅力、さまざまな技法の展開、その流れと広がりをたどります。