オノデラユキ(1962年東京生まれ)は、パリを拠点に国際的に活躍する写真家です。第1回写真新世紀展で受賞後、93年 にフランスに渡り、95年に都内3ヵ所で開いた個展「DOWN」で一躍注目されました。以来、代表作「古着のポートレート」をはじめ、ラベルの剥がれた缶詰が宙を舞う不思議な写真「C.V.N.I.」やカメラ内にビー玉を忍ばせて撮影した写真「真珠のつくり方」、あるいはどこか見覚えのある人型のシルエッ トの写真「transvest」などの連作を次々と発表。2003年には写真集『カメラキメラ』により、第28回木村伊兵衛賞を受賞しました。
オノデラユキの写真には、古着、缶詰、鳥、カメラ、ピンボケの歪んだ顔、闇に光る家、人影など、一見ありふれた日常の断片が登場します。しかし、どの写真も、オノデラの遊び心溢れる発想に裏打ちされた、思いもかけない視点で捉えられています。見慣れているはずのものが、なぜか見慣れないものに見えてく る。そんなイメージの連鎖が、見る者を刺激してやみません。
本展では、これまでの代表的な連作に新作を加えた約50点によって、オノデラユキの写真世界を紹介します。