このたび、玉川大学教育博物館特別展「ジョン・グールドの鳥類図譜」を開催いたします。この展覧会は長い間ジョン・グールド鳥類図譜の研究を続け、成果を「ジョン・グールド 鳥類図譜 総覧」(玉川大学出版部)としてまとめられた清子内親王殿下の出版を記念したものです。
ジョン・グールド(1804-1881)は、当時発明されたリトグラフの技法を用いて制作した鳥類図譜によって世に知られるイギリス人の博物学者です。図譜の総数は40巻、図版の数は2946点におよびます。鳥たちのいきいきとした描写と手彩色による美しい色彩をもつ図は、科学性と芸術性をあわせ持つ歴史上名高い図鑑として今日に至るまで賛美されています。
清子内親王殿下は、学習院大学をご卒業されてからすぐ、山階鳥類研究所に研究助手として勤務されました。研究所では資料室に所属され、図書整理の仕事の一環として、山階鳥研の所蔵するグールドの鳥類図譜22巻に描かれた鳥類の現在の学名・英名・和名を判定する調査をしてこられました。これは図譜に描かれている鳥の現在の分類学的位置を確認するという研究で、そのためには鳥の分類の歴史を辿るという地道な調査をする以外に方法はありません。山階鳥研の所蔵図書調査の後は、グールド鳥類図譜40巻全巻を所蔵する玉川大学教育博物館の資料をもとに研究を続けられました。
この展覧会は、本館所蔵のグールド鳥類図譜全巻と関連資料をもとに構成していますが、展示には清子内親王殿下のグールド図版における鳥の学名変遷をたどる調査法とともに、その他の研究業績などを紹介するコーナーや、本学の教育資産活用プロジェクトの一環として、図譜の保存と活用を目的に開発されたグールド・デジタル・アーカイブなどのコーナーも設けています。歴史的・文化的遺産として世界に誇る本館のグールド・コレクションをさまざまな角度からみることにより、その魅力を多くの方々に堪能していただければ幸いです。