展覧会場で抽象的な作品を見るとき、「この絵は何を描いているのかわからない!」という声を、よく耳にすることがあります。
たしかに抽象的な作品には、意味不明に見える線や形が描かれ、脈絡のなさそうな色が塗られています。これでは絵の中に「何が」描かれているのかはわかりませんね・・・。
でもちょっと待ってください!
絵を見るということは、絵の中に「何か」描かれているかを考えることだけなのでしょうか?
絵を見ることが、美しさに触れて感動する体験を味わうことであるとするならば、この「何が描かれているか」探ることだけに終始するのは、とてももったいないように思われます。
例えばあなたは、万華鏡を覗いたときに見える不思議な色と形や、夜景に浮かぶ光の折り重なりなどに、言葉にできないような美しさを見いだしたことはないですか?
「何を表しているのかわからないけど美しい」。
このような感覚はどんな人の心の奥底にも眠っているのです。この展示会では当館が所蔵している作品をご覧いただきながら、美術作品の「内容を探る」見方から「美しさを感じる」見方への糸口となれば・・・と考えております。
もしあなたが抽象的な作品を見た時に、何が描かれているかわからなくて不満に感じたことがあるならば・・・、是非この展覧会に足を運んで見て下さい!