小柳竜児(1928-)は北九州にアトリエを構え、現在も制作し続けている洋画家です。
大牟田市三池に生まれた小柳は少年時代を門司で過ごし、終戦の年、絵画制作は“自由の証”と捉え、画家になることを決意。日本発送電力(九州電力の前身)に勤務中(19歳のとき)に爆発事故にあった強烈な体験から赤や茶褐色を基調とした作品を多く書くようになります。その後、フランスやカンボジアなどの滞在を経て、暗褐色や黒をベースとした作品へと移行。街の中で生活する人々の姿や遺跡のシリーズなど数多く描いています。
やがて、作品は黒からグレーが目立つようになり、1970年代の中頃以降、グレーから白へと変化しました。そして、30年以上に渡り、今日に到るまで白を強く意識し続けています。「白-最も単純で、これほどイメージが激しく変化する色はない。白には無限の力と広がりがある」と小柳は白に対する魅力を語ります。
世界を旅し、未だ見ぬものへ出遭ったときの新鮮な驚きが込められた風景画など“白の世界”を中心に、約50点を紹介します。