「光の詩人」「光の魔術師」などと呼ばれる現代における照明デザインの巨匠インゴ・マウラー(1932~)は、ドイツに生まれ、これまで約40年間にわたって新しい照明システムなどを生み出し、照明デザインを芸術として確立した功労者です。
彼は1966年「Bulb」を発表、その後、「問題ないよ」「ビビビビ」「エジソン、あなたはどこに」「ルッチェリーノ」など、時にはユーモラス、時には美しく独創的な作品を次々に発表、この世界の第一人者としての地位を築きました。
三宅一生の展示会場、パリ・コレクションのステージ、シャネルのファイン・ジュエリー展示会場、ミュンヘンの地下鉄駅構内の空間照明も手がけ、大胆なアイディアで常に話題を振りまいています。
1980年代ハロゲンランプに着目、90年代からは発光ダイオードを光源とした照明にいち早く着手、デザインと技術の両面にわたって次世代を見据えた創造活動に挑戦しています。
彼の展覧開はヨーロッパ各地で開かれていましたが、ランプシェードの素材として和紙を重視するなど日本と深いかかわりを持ちながら、わが国ではこれまで大規模に紹介される機会がありませんでした。本展は、日本における初の本格的な回顧展として、その業績をすべて紹介、会場全体を「光の詩人」が創り出す光と影の魔術で包みます。