一枚の布は、体に巻いたり物を包んだりとさまざまに利用されます。展示では「まとう」「つつむ」の用途に分けてこれらを紹介します。
「まとう」では、一枚の布を体に巻き付けることによって衣服の形となる巻衣を紹介します。インドのサリーに代表される巻衣は、アジア、アフリカを主に各地でみられます。地域の風土や生活様式、性別、また体のどの部分にどのように巻き付けるかによって、それぞれに布の幅や長さも異なります。「まとう」では各地の着装方法を紹介し、体に沿わせて巻き付けることによって生じるドレープの美しさ、また布そのものの染織的な美しさにもふれます。巻衣を留めつけるピンなどの留具もあわせて紹介します。
「つつむ」では、日本の風呂敷や韓国のポジャギをはじめ、アジア各地で用いられるさまざまな物を包む布を紹介します。「つつむ」という行為には、ものをまとめて持つ運搬の役割だけでなく、ものを大切に扱う思いや、贈答物を包む際の相手への敬意がこめられています。
これらの展示品をとおしてそれぞれの民族が生み出した知恵や、一枚の布の持つ可能性を感じ取っていただければ幸いです。