3階の「コラージュの世界」では、様々なイメージを集め、その意外な組み合わせによって新たな意味が生まれる作品を紹介します。
現代では芸術家が眼にするイメージは膨大です。自分のいる空間、テレビやコンピューターの画面、そして広告などの視覚体験に加え、当然、夢や記憶も残像として堆積していきます。遠近法に基づく全てが一つに収斂する絵画空間など、実体験とはかけ離れた、リアリティに欠けるものとなっています。それゆえ、20世紀初頭に、新聞紙など日常生活の断片をカンヴァスに糊付けたことにはじまるコラージュのように、断片化されたイメージの並置は、画面を構成する方法として定着し、今日では一層その有効性を増しているように思われます。様々なイメージが重ね合わされることによって、個々の意味は、互いに変容していきます。そこでは、芸術と日常、夢と現実、異なる文化圏といった境界が溶解するだけでなく、その衝突と混淆により、全く新しい意味が生まれていくのです。