2006年1月、一周忌をむかえる加藤卓男を偲んで、岐阜県現代陶芸美術館では、「陶のシルクロード 加藤卓男の陶芸展」を開催します。
加藤卓男は異国の地で途絶えていたラスター彩を再現し、また正倉院事務所からの依頼を受け正倉院に伝わる三彩を復元しました。それらの功績により岐阜県名誉県民に推挙され、さらに重要無形文化財保持者(人間国宝)として認定を受けました。
加藤卓男(1917-2005)は、江戸時代から続く窯の跡取りとして生まれました。初期には志野や織部、油滴天目など美濃や中国の伝統的な技法に基づいた作品制作に取り組んでいましたが、書物や度重なる海外への渡航などからイスラム文化のエキゾチックな魅力にひきつけられ、幻想的なラスター彩の再現に挑みます。後に青釉など、獲得したペルシア陶器の技法のうえに、美濃で培われた自身の個性を融合させて、きわめて独創的で豊潤な作品を生み出しました。
本展覧会では、美濃焼や中国陶磁などの伝統的な技法による初期作品から、真骨頂ともいえる青釉、ラスター彩などのペルシア陶器を土台とした作品、また重要無形文化財保持者の認定を受けた三彩などを駆使した作品群を紹介します。同時に加藤が手本とした三彩、ラスター彩などの古陶磁も展示し、アジアの東西を結んだ陶のシルクロード、加藤卓男の世界をご覧頂きます。