中国★美の十字路展は、後漢(1~3世紀)から盛唐(8世紀)にわたる歴史を貫く時間的な縦軸と、東西交流、南北交流という地理的な横軸を、日本初上陸する国宝級の文物で構成する展覧会です。
3世紀初めに漢王朝が滅亡後、分裂し戦乱が続いた中国大陸。581年の隋による統一までの間は魏晋南北朝と呼ばれますが、北方の遊牧民族、西方の中央アジア諸民族からの圧迫や支配を受け、それまでの漢文明が異民族に浸食された受難の時代と長く考えられてきました。しかし近年急速に進んだ発掘調査や研究により、この時代こそ異民族文化が漢文明と衝突し、また融合することで成熟し、中国文明史上ひとつの頂点に達した唐文明の誕生を準備したという新しい歴史観が生まれました。唐王朝の文明は漢民族だけによってつくりあげたものではなく、北方の諸民族、西方のインド、ペルシア、中央アジア、そして遠くはローマからの影響なくしては結実しなかったといえます。
本展ではこのような新たな歴史観に立ち、中国における黄金時代の黎明期を紹介します。
中国全土の40以上の博物館や研究機関より出品される210件の出品作の半数以上が一級文物に指定されており、今回初めて中国国外にでる出品物も多数となります。
外来文化と中国文化が交差することで生まれた壮大な「美」の軌跡をたどる楽しみをこの夏、ぜひご体感ください。本展は2004年秋のニューヨーク メトロポリタン美術館での開催を経て森美術館にて開催いたします。