ナポレオン戦争を背景にヨーロッパが近代へと向かう18世紀末から19世紀初頭の激動期に鋭い洞察で人間の愚かさや残酷さを描き出したスペインの画家ゴヤの版画集『気まぐれ』(1797-98)と『戦争の惨禍』(1810-15頃)、計160点を紹介します。
フランシスコ・ゴヤ(1746-1828)
スペインの画家、版画家。1767-71年にローマで学び、その後スペインのカルロス3世とカルロス4世のマドリード宮廷で肖像画、歴史画、タピスリーの原画を描き、また、マドリード美術アカデミーの院長を務めた。啓蒙主義運動に密接に関わったものの、1808年のナポレオンによるスペイン侵略や聴力を失ったことによって、孤独な生活を送るようになり、自宅に閉じこもって幻覚のような「黒い絵」を壁に描いた。1823年にスペインを離れ、ボルドーで没した。