中華人民共和国は,文化的にも経済的にも日々目覚ましい発展を遂げています。その躍進ぶりは,注目を浴び国際的な地位は揺るぎないものとなり,2008年には北京オリンピックの開催も控えています。そのような中国で芸術文化面において,1949年以来5年に1度「全国美術展」が開かれてきました。これは,中国最大規模の公募展であり,昨年,第10回目を迎えました。その受賞優秀作からの選抜展を開催いたします。
中国社会の激変のなかで,その社会の変容を写し出してきた本展覧会は,その日本への巡回展になりますが,中国画35点,油彩画30点,版画11点,水彩画10点,漆画4点,年画2点,連環画1点,漫画2点の厳選された計95点を一堂に紹介します。中国の伝統美術に西洋美術が加わり,その影響を受けながらめざましい発達を遂げる中国美術。その高い技術水準を示すと同時に,解放軍兵士や労働者,時期的テーマなど中国特有のテーマの作品を数多く含むユニークなものにより,日本とは異なる中国美術の現状を概観できる展覧会となるでしょう。さらに,90年代の政治的な安定と市場経済制度の浸透を背景に,加速度的に近代化が進み変貌していく街や若者の姿,都市化が引き起こす問題など,出品作品は,それら様々な姿を私たちに伝えてくれることでしょう。そして,多くの作品から私たちは中国社会の現況を感じることができると思われます。
近くて遠い国といわれてきた中国。茨城で初となる中国現代美術を紹介する本展覧会を通して,中国の歴史と伝統に裏打ちされた表現技術の枠を楽しむと共に,隣国中国との文化交流,友好を深めることができるものと思われます。