本展は「ゲゲゲの鬼太郎」に代表される妖怪漫画の第一人者として知られる水木しげるの全容を紹介するもので、「ゲゲゲの鬼太郎」「河童の三平」など代表作の原画をはじめ、画家を志していた十代の習作画、16歳のときに童話を自らのイメージで絵本化した作品の数々、南方の戦地で終戦を迎えたときの兵士や現地の人々の様子を描いたスケッチ、復員して焦土のなかで生き抜きながら再び画家を目指していたころの作品、紙芝居作家として活動していた時代の紙芝居原画など貴重な作品も出品されます。また、水木の描いた貸本漫画、世界各地へ妖怪探索に赴いた折に収集した各国の仮面コレクションといったものから、小学校時代の通知表、戦地から父親に宛てた軍事郵便といった資料まで公開されます。なお、本展は水木しげると親交のある荒俣宏と京極夏彦の監修によるものです。
また、本展ではて江戸時代の絵巻や錦絵、版本といった資料も展示されますが、これらは川崎市市民ミュージアムだけに出品されるもので、狩野宴信の描いた百鬼夜行画巻、歌川国芳の描いた化け物の行列、百鬼夜行柄着物など初公開資料も多く、「汐吹」「馬肝入道」など独特の妖怪を収録した化け物尽くし絵巻なども国立歴史民俗博物館の展示以来、久々に公開されます。 また、新しく発見された『絵本怪談揃』という版本も出品されますが、これは有名な妖怪本『絵本百物語(桃山人夜話)』に先立って刊行されたもので、『絵本百物語(桃山人夜話)』はこの版本の改題本だったことがわかる貴重な資料です。