いまもっとも親しまれている動物写真家・岩合光昭は、1980年代広大なアフリカの草原に家族で移住、雨期と乾期を繰り返すダイナミックな自然とそこに暮らすライオンやヌーの群れなどを撮影しました。最近では、峻険な山々が連なる中国山岳地帯にパンダを追い、そのふもとの農村で人々の暮らしと密接に生きるトキにレンズを向けています。
どんな過酷な自然環境のもとへも実際に足を運び、そこに生きる動物たちと同じ目線に自分を置いて撮影する――過度な思い入れではなく、自然にありのままの姿を写し出そうとする写真家は、同じ地球に生きる仲間として共感と愛をもって動物たちを見ています。
岩合の写真は、地球のあらゆる地域をフィールドにして、美しく豊かな地球とそこに生きる仲間たちが写し出されています。それはときには絶滅に瀕した野生動物であり、またときには路地裏や田舎道で出会った猫たちであり、極寒の地で暮らすホッキョクグマが束の間の夏を謳歌するように花畑でくつろぐ姿なのです。
私たちが暮らす美しい地球と私たちの仲間である生きもの――その美しさや力強さは、きっと私たちが忘れかけていた大切なものを気づかせてくれることでしょう。