19世紀から20世紀初頭は、多くの美しい挿絵本が作られ、広く愛された時代と言えるでしょう。この時期、印刷技術の発達によって、また本が庶民の生活の中に浸透してゆくにつれて、数々の魅力的な色刷りの本が生まれました。例えば、博物誌や旅行記の挿絵を通して、人々は新たな発見や驚きをどのように伝えようとしたのでしょうか。詩集に添えられた挿絵は、私たちをどのような夢想に誘うのでしょうか。雑誌にある挿絵は、時代の雰囲気やスタイルをどのように醸し出しているのでしょうか。これらに限らず、この時期は社会や生活が一気に多様化する時代でもありました。本展でも、実に様々な挿絵が紹介されます。さらに19世紀から20世紀へと時代が変わる時、挿絵もどのように変わってゆくのでしょうか。
本展では、そのような彩り豊かな挿絵本の世界を国内の個人コレクションから約300点で紹介します。このような挿絵本がこれだけ多く一堂に会し、その知られざる世界が紹介されるのは、珍しい貴重な機会となるでしょう。