本展覧会は、90年代後半に中部圏で活動を始めた若手アーティスト8人の作品を紹介するものです。彼らはこれまで互いに刺激し合いながら新しい世代のアートの気運をつくり出し、各々の瑞々しい感性によって時代を表現してきました。そして今や、現代を代表する若手アーティストとして活躍しています。
8人に共通するのは、既存の美術の枠組みにとらわれることなく、時代を身体と視覚と思考を通じて捉え、新たな表現をより深いところから生み出そうとする態度です。それは自分の感覚を頼りにアートを根本から組み立てる作業とも言えます。それだけに彼らの作品の中には、既存の価値観で見れば理解しにくいものもあるでしょう。しかし時代のリアリティを探るという行為は、試行錯誤と実験の繰り返しです。そして、世界と自分の関係の中に、表面的ではない根源的なリアリティを見い出そうとするとき、彼らは<人間>とは何かという問題に出会っているはずです。
<ベリー ベリー ヒューマン>は、彼らが見い出す<人間>の様を表わしています。8人の表現には、私たちがこれまで見過ごしてきたものごとや、先入観によって目をそらしてきた一見非人間的な要素も含まれています。しかし、そこにこそ<人間>を深く捉える手掛かりがあるのかもしれません。この地で活動を始めた若手アーティストの作品の中に、次代のアートを予感していただきたいと思います。