佐倉ゆかりの作家浅井忠は、日本近代洋画の先駆者として知られている。晩年、浅井は京都に移り、梅原龍三郎や安井曽太郎など多くの弟子たちを育てた。弟子たちの回想文などによれば、浅井は、自分の画風を押し付けることなく、個々の長所を伸ばす指導をしたという。当館では、これまで浅井から弟子たちに継承されたものを探るため、佐倉出身で弟子でもある都鳥英喜他、長谷川良雄などの展覧会を開催した。今回、浅井の写実性を受け継いだ黒田重太郎を取り上げる。
本展は、二度の渡仏により印象派やキュビスムの影響を受けながらも、花鳥風月を愛し、日本的な油絵を求め描きつづけた黒田の遺作展以後、初の大規模な回顧となる。