当館では、江戸時代の絵画と版画の収集と紹介を活動の一つの柱としております。全国の公立美術館のなかでも珍しいこの特色を生かし、会館以来、この分野の大規模な企画展や所蔵作品を中心としたテーマ展を数多く開催してまいりました。このたびの開館10周年記念特別展である「ミラノ展」もそうした活動の縁によって開催の運びとなったものです。そこで同時開催として、千葉市美術館の江戸時代の絵画コレクションと、近年新たにご寄託を受けた作品の一部をご紹介する展覧会を企画いたしました。
「筆墨の技を味わう」「愉快な動物たち」「身の回りの小さな情景を描く」「月光に心を研ぎ澄ます」など、いくつかのテーマによるコーナーを設け、画家の流派や制作時期にとらわれずにたのしくご覧いただけるように構成してみました。ローマ帝国時代以来の幅広いイタリア美術に触れた後、本邦の絵画の肩肘張らないささやかな世界に心遊ばせていただければ幸いです。