滋賀県立近代美術館では10月1日(土)から11月13日(日)まで「近代日本洋画への道―山岡コレクションを中心に―」を開催します。笠間日動美術館の所蔵になる、日本の洋画の山岡コレクションを中心として、黎明期の日本洋画の実態を回顧しようとする展覧会です。
山岡コレクションは、日動美術財団が運営する笠間日動美術館の所蔵になる、山岡孫吉氏が収集された日本洋画の一大コレクションです。山岡孫吉氏は、明治21年3月に、当地の滋賀県伊香郡高月町に生まれ、明治45年に山岡発動機工作所を創業、小型ディーゼルエンジンの実用化に成功、後にヤンマーディーゼル株式会社を設立された実業家です。一方で、氏は、江戸時代から特に明治時代の洋画に強い関心を抱かれ、早くよりこの種の作品の収集につとめられ、優れたコレクションを形成されました。山岡氏は、滋賀県の農業の機械化に大きく寄与されるとともに、その文化活動にも私財を提供され、滋賀県立琵琶湖文化館の創設時などにも大きな貢献を果たされたのです。
この展覧会では、日本の近代美術を考えるに最も重要な、江戸後期の洋風画や洋風版画、さらに山岡コレクション中で最も注目される、明治時代の日本洋画の名作約120点を展示・公開いたします。そのなかには、高橋由一の「本牧風景」「鮭図」をはじめ、百武兼「ブルガリアの女」、五世田義松「人形の着物」、岡精一「捜索」から、小山正太郎・和田英作そして青木繁などの作品が注目されるところです。また、このような西洋画の世界と接触することによって従来の伝統的絵画も日本画へと変貌しますが、明治期の絵画の状況を展望するのに有益な、当館が所蔵する日本画も併せて展示します。
芸術の秋にふさわしい、日本洋画の名品の数々をぜひご鑑賞ください。皆様のご来館をお待ちしております。