●オーストリアで生まれたルーシー・リー(1902-1995)は、ロクロにひと目ぼれし、ウィーン工業美術学校で陶芸コースを選択しました。
●以来ウィーン分離派、ウィーン工房の活躍する時代にモダンな作風の陶芸家として地位を築いていきましたが、ナチスから逃れるために1983年渡英。その後も「掻き落し」や「象嵌」、2種類以上の粘土を合わせてロクロ挽きすることによって螺旋模様を作る「スパイラル」などを取り入れて、独自のスタイルを築き上げました。
●ルーシーの作陶過程には独特の手法がとられています。まず、素焼きを行わずに1回で焼成させます。また釉薬は、掛け流しや浸し掛けをせずに、ほとんどロクロ上で筆を使って掛けられます。
●本展では、初公開作品を含む陶磁器約60点と釉薬の研究のもととなったボタン、ルーシーがバーナード・リーチに贈った≪ティーカップ&ソーサー≫、リーチからの≪お礼状≫、1987年に発行されたルーシー・リーの記念切手を’ルーシー・リーの生涯’や’技法’にも触れながら展観していきます。
●シンプルでありながら洗礼されたそれらの作品を通して、現在も欧米で大きな影響を与え続けるルーシー・リーの魅力を再確認します。