スイスの歴史的都市ジュネーヴにあるバウアーコレクションは、審美眼に優れた実業家アルフレッド・バウアー氏が収集した東洋美術のコレクションです。浮世絵、中国陶磁、日本当時、漆工芸品、根付、刀装具など質の高い作品を豊富に所蔵しており、その充実振りはヨーロッパ屈指のものと評価されています。このうちバウアー氏が20世紀前半の40年ほどの間に収集したという600点ほどの浮世絵は、鈴木春信、鳥居清長、喜田川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重といった主要絵師たちの重要な作品も含まれる魅力的なものです。今回の展覧会では、中でも優れた200点が選ばれており、新春にふさわしい華やかな展示となります。とりわけ歌麿、写楽とその周辺絵師たちの時代、またほぼ完璧な保存状態を誇る幕末の作品群は圧巻といえるでしょう。ながく公開を切望されながらも、これまでバウアーコレクションの浮世絵が外部で展示される機会は大変少なく、出品作品のほとんどが世界初公開となります。