世界の美術界が常にその動向に注目しているドイツ現代美術の巨匠、リヒターの仕事を約50点で展観します。メディア技術の発展で、現実の事象と複製されたイメージが共存するようになった20世紀以降の「世界」を、比類なき視点と高度な作画技術でカンヴァスに定着させたリヒターの絵画は、わたしたちの生きる世界を映す「鏡」であるともいえます。「写真と絵画」、「具象と抽象」そして「現実とイメージ」の境界線を融解させたような独特の画面は、美術史にリヒターの名が未来永劫、深く刻み込まれることを確信させるものです。2001年に当館で開催された『ゲルハルト・リヒター ATLAS』は、リヒターのライフワークである膨大な写真アーカイブ《ATLAS》を中心とした展覧会でしたが、本展では、絵画の仕事を本格的にご紹介します。