オランダを代表する版画家 M.C.エッシャー。科学者の眼で見たかのような緻密なタッチで描かれた作品は、現実ではありえない世界を表現し、見る者を迷宮へと誘います。本展では、長崎のハウステンボス美術館が所蔵する作品から厳選した、エッシャーの代表作80点余りと関連作家の作品や資料によりその魅力を存分にご紹介します。 ̄
エッシャー(Maurits Cornelis Escher)は1898年オランダに生まれ、21歳で入学した建築装飾美術学校で各種版画の高い技術を身につけました。初期の明暗をハッキリさせた作品のスタイルは、美しいイタリアの風景との出合いから、遠近法を使った繊細な作風へと変化し、やがてエッシャーを象徴する不思議な世界を描く時代へと到達します。スペイン・アルハンブラ宮殿のモザイク模様をヒントに生まれた、隙間無く並んだ魚や鳥たち。2次元と3次元の世界を行き来する人間。枯れることのない滝や終わりのない階段。エッシャーが描く世界は、見れば見るほど悩めば悩むほど、抜け出せなくなる不思議な世界です。エッシャーが創り出したこの迷宮はあなたをとらえて放さないでしょう。
東北において、これほど多くのエッシャーの作品をご紹介するのは初めてのこととなります。この機会にエッシャーの魅力をたっぷりとご堪能いただければ幸いです。本展開催にあたり、ご協力賜りましたハウステンボス美術館はじめ関係各位に厚く御礼申し上げます。