中世よりヨーロッパの中心に位置する港湾都市、商業都市として栄えたゲント市。北方ルネサンスの至宝、ファン・エイク兄弟の多翼祭壇画(通称「ゲントの祭壇画」)でも知られるの町は、中世のたたずまいをそのまま残す美しい古都として、また、近年では、近代産業の町、学生の町として大いに栄える活気に溢れた町です。
この町にあるゲント美術館は、1798年創立というベルギーで最も古い美術館のひとつで、そのコレクションには、ヒエロニムス・ボスを始めとするフランドル絵画からマグリット、アンソールなど20世紀前半の美術までが網羅されています。
本展覧会では、この充実したコレクションの中から、特に19世紀から20世紀にいたる西洋近代美術に焦点をあて、新古典主義からロマン主義、印象派、象徴主義、フォーヴィスム、表現主義、シュルレアリスムという大きな流れの中で、フランス、イギリス、ドイツ、そして、ベルギー本国の美術作品の変遷をたどるものです。特に、バルビゾン派以降のフランスの美術、その影響を受けた作家たち、また、80作家125点の作品によって一挙にご紹介します。クノップフ、ミンヌといったベルギー象徴主義、マグリット、デルボーらシュルレアリスムの作家などに加え、これまで日本で紹介する機会の少なかったゲントの作家たちの作品も多数含まれ、見ごたえあるコレクションの一画をご堪能いただけるでしょう。