広い海の中で泳ぎ回る魚たちの中になぜか虹色の美しいウロコを持ったさかなが一匹。自分だけが特別だと思っていたさかなは、自慢のうろこを一つくれないかと小さな青い魚に頼まれてもあっちに行け、と聞きません。そんな傲慢なさかなは皆から相手にされず仲間はずれにされてしまいます。どうしたら皆を仲良くなれるのか。さかなは虹色のうろこを仲間に一枚ずつ分け与えていきます。そして皆と友だちになり本当のしあわせを手に入れます…。
スイス生まれの絵本作家マーカス・フィスターが1992年に発表した『にじいろのさかな』は、その後シリーズ4冊が発売され、わずか10年ほどで世界36カ国で翻訳、1300万部もの売上を記録した歴史的ベストセラー絵本シリーズです。
93年にボローニャ国際児童図書展エルバ賞を受賞。とりわけ日本では95年、谷川俊太郎の名訳により最初の作品が出版されるや、作品のもつ力強いメッセージや美しいアートワークが世代を超えて感動を呼び、100万部を突破しています。
2005年は『にじいろのさかな』が日本で初めて紹介されてから、10周年。また、最新作『にじいろのさかな まいごになる』の翻訳本が世界に先がけて日本で最初に発売されます。自分らしくありながらも、多くの仲間と共存し、互いに助け合うことの大切さを描きつづけてきたフィスターのあたたかな作品は、今こそさらに多くの人々の胸を打ってやまないことでしょう。
本展は、『にじいろのさかな』日本刊行10周年、100万部突破を記念し、最新作『にじいろのさかな まいごになる』を含む、代表作「にじいろのさかな」シリーズを中心に、「ペンギンピート」シリーズなどその他の人気作品原画も多彩に揃えます。若くして世界的な絵本作家となった彼の、絵本の世界の全貌を約130点の作品でご紹介します。