春夏秋冬、日本の四季は表情豊かで、季節を伝える歳時も豊かです。現代社会に生きる我々にとって、夏は「古き日本」的な世界に多く触れる季節ではないでしょうか。うちわ片手に浴衣姿で楽しむ花火などは、その代表例ということができるでしょう。浴衣は、かつて広く一般に普及した衣装でしたが、現在日常的に身に着ける人はほとんどおらず、「伝統的」なイメージのある存在といえるでしょう。花火も、江戸時代以来、夏の風物詩として、人々の間になじみの存在です。また、暑い夏を涼しく過ごす「納涼」と切っても切れない関係の、妖怪や怪談も夏を彩る風景ということができるでしょう。こうしたものの多くは、江戸時代から明治にかけて登場したり、普及したりしたものです。
本展示では、現代社会に息づく夏の風物詩を、「浮世絵」「浴衣」「贈答」「怪談・妖怪」といった4 つの視点で描き出します。より身近な視点から、伝統的イメージの背後に広がる豊かな世界へと皆様を誘います。