選択、選抜、選定、選別……。「選」とは、ある基準に照らし合わせてみたときに、多くのものの中から、より大事と思われるものを選り分け、取り出すことです。それゆえ、選ばれたものを見れば、選ぶ基準も自然と浮かび
上がるでしょう。
美術館・博物館に収蔵されている作品・資料(コレクション)は、膨大な数の中から「選ばれて」保管されているものの集合体であり、その意味でコレクションを見渡せば、それぞれの館が何を大切にし、何を後世に残すべきだと考えてきたかがはっきりします。
言いかえれば美術館・博物館は、コレクションの形成・公開を通して、選ぶ基準、自らの物差しを世に問うことになるのです。
本展では、1991年の開館以来、徐々に形づくられてきた美術のコレクションより、特に当館の収集方針、いわば〈選〉の物差しをくっきり映し出すと思われる作品を選び、当館の活動の意義を考える1つの機会とします。