松島(宮城県)、天橋立(京都府)、厳島(=宮島・広島県)は日本三景と呼ばれ、それぞれに際立った特徴を持つ海浜景観の美しさで知られています。この3名所を全国でもとくに優れた美しい場所とする捉え方が江戸時代に入って明確となり、その景観を主題とする絵画が制作されるようになりました。
本展は日本三景というテーマで絵画作品の系譜をたどる初の試みです。三景が成立する以前の中世の絵画から多彩な近世絵画の展開を中心に、近現代日本画や浮世絵版画、さらに三景ゆかりの社寺を象徴する宝物などをまじえ約100点で構成される展覧会です。
異なる時代、異なる画家が生みだしたさまざまなビジュアル・イメージを旅しながら、日本三景に注がれた人々の眼差しと絵画表現との関係を探ります。