設計者であり今春オープンした香川県立東山魁夷せとうち美術館の設計でもよく知られています。
谷口吉生は出発点である資生堂アートハウス以来、数々のミュージアム建築を手がけ現在世界で最も美しい美術館を作る建築家と評されています。光の満ちる軽やかで洗練された空間。周到にめぐらされた機知に富んだ視覚効果。統制されたプロポーションが生み出すフォルムと、それに呼応する繊細で精緻を極めた素材と質感へのこだわり。谷口の生み出す建築には、建築が個性的であるほど不可避ともいえる構造的呪縛や圧迫感から解き放たれた、自由に伸びゆく空間を感じとることができます。また周囲の環境や立地の歴史的背景と響き合う関係は、谷口建築の最大の特徴と言ってよいでしょう。
本展では、谷口吉生がこれまでに手がけたMoMAと国内計12のミュージアムのプロジェクトを建築模型、図画、写真、映像などによって紹介するとともに、話題のMoMAについては、その建築の歴史、設計コンペの模様、谷口案が採択されてから建設に至るまでを多角的に検証します。谷口自身の手による美術館の内部空間で展示されることは、来訪者の感性を深く揺さぶり、静かな感動を呼び起こす谷口建築の真髄を体験する好機となるとともに、12のプロジェクトにおける丸亀の位置付けを読み取ることもできるでしょう。