当館の「本をめぐるアート」収蔵作品・資料の中から,実際に「さわれる本」と,さわれないけれども見て楽しい「作ってみたい本」を紹介します。
当館の収集方針の一つ「本をめぐるアート」は,本にまつわる美術作品に焦点を当てた,国内では他に例のない試みであり,開館からこれまで多くの支持をいただいてきました。その中で常に頭を悩まされるのが展示の問題です。特定のページを開いたままケースの中に展示すると本の機能は奪われ,その魅力を十分に伝えることができません。一方,自由に中を見ていただくようにすると,触れば触るほど本は傷み,作品の保存という美術館のもう一つの使命が果たせなくなってしまいます。そこでこのジレンマから逃れ,展覧会でページを「めくる」楽しさを味わっていただくため,閲覧用資料の中からアーティスト・ブックや絵本など自由に触れる本を紹介します。飛び出す本,パラパラ絵本など遊べる本も出品の予定です。また,触れないけれども見て楽しい,造形の豊かな本の作品も展示します。「こんな本がほしい」「こんな本を作ってみたい」夢のプランが思い浮かぶような展示にしたいと考えています。ページをめくるごとに展開する本の世界を皆さんでお楽しみください。