1890年代から二つの世界大戦にわたる激動の時代を生き抜いたケーテ・コルヴィッツ。彼女は、ドイツ国内のみならず、日本・アメリカ・中国・フランスなど世界中の多くの人々に知られ、きわめて真摯な生き方と作品は、時代やイデオロギーを越えて高い評価を得ています。
第1次世界大戦で息子を、第2次世界大戦で孫を失ない、困難な時代に生きる人間の苦しみや悲しみを見続け、戦争や死に対する憤りや苦悩を表現しながら、力強い芸術を生み出しました。また、彼女の知性と勇気に富んだ真剣な生涯と作品は、人々を深い感動へと導き、悲しみを真に浄化する力を与え続けています。本展は、日本におけるドイツ年を記念し、ifaドイツ文化交流研究所およびケーテ・コルヴィッツ美術館 ベルリンなどが所蔵するこの芸術家の全時代を代表する版画・素描・彫刻など約160点を展示し、その全貌に迫ります。
この展覧会は,ケーテの生涯にそって 4部構成で展示されます。見どころとなる作品としては、ハウプトマンの戯曲に基づく『織工の蜂起』(石版画と銅版画) ,ドイツ農民戦争を扱った『農民戦争』(銅版画) ,7つの場面からなる『戦争』(木版画),8つの場面からなる『死』(石版画)。歌と踊りに熱狂する民衆をとらえた「カルマニョール」,すさまじい迫力を持つ「女と死んだ子供」,人間の真実の姿をとらえた「乞う女」「妊婦」「青いスカーフをした女性労働者の胸像」「リープクネヒト追悼」など。そして,あなたの心に迫るケーテの作品は…。