漆芸は日本を代表する伝統工芸のひとつです。中でも、大陸の影響を受けて発達した琉球漆器は、本土の漆器とは異なる歴史と魅力を持っています。
中世から近世にかけて、現在の沖縄県は“琉球”と呼ばれる王国で、海上交通の要所という地の利を活かし、交易によって繁栄していました。そのような中、琉球漆器は冊封関係にあった中国への貢物や、また薩摩の琉球侵攻後は江戸幕府への献上品などに用いられ、琉球を代表する工芸品として技術の粋を極めました。
今回の展覧会では、質・量ともに国内随一の規模を誇る浦添市美術館の琉球漆器コレクションから、琉球王朝時代の漆器を中心に約70点を展示いたします。螺鈿(らでん)や堆錦(ついきん)など、漆芸独特の技法を駆使した華麗な漆器の数々をお楽しみください。
沖縄県外での展覧会も少なく、普段あまり目にすることのない琉球漆器の優品を、この機会にぜひ多くの方にご覧いただきたいと思います。