「色彩の魔術師」と謳われ、光と色彩の関係を生涯追及し続けたデュフィと、若くして才能を開花させ日本画壇に多大な影響を与えた、稀代の天才画家速水御舟を中心に、夏に相応しい名品を展示致します。
・デュフィは「光は色彩の魂であり、光がなければ色彩に生命は無い」と、
光と色彩の関係を探求し続け独自の世界を見出し、後に‘青のデュフィ'
と称されました。
「ニース(幌付馬車と三本の椰子)」は、彼がまさに自分の青を見出した
頃の名品です。
刻一刻と変わる海の青の様々な諧調を見事に描いた「ドーヴィルのレガッ
タのあと」、にわか雨と虹を同じ画面に描くことで‘光'と同時に‘時間'
の推移を感じさせる「三人の騎手」、走る馬の瞬時の動きの美しさを素早
い筆致で見事にとらえた「ドーヴィルの競馬」等をご覧頂きます。
・「水の画家」と呼ばれたマルケ「ヴェニスの朝」は、初夏の光を受けた運
河を微妙なニュアンスの色彩で描いています。又、南フランスの強い陽射
しの中で散歩している二人の婦人を描いた、ボナール「散歩する二人の婦
人」は、大胆で単純化された構図の中に、ともすれば溶け込んでしまう人
物をカンヴァス地の白を用いて立体感を出し、その場の陽光と空気を感じ
させる作品です。
・日本画は惜しまれながらも早逝した御舟の若き日の傑作「林丘寺塀外の道」、
若々しく力強い植物の生命力を描いた「唐もろこし」等をご覧頂きます。
・工芸は、中国宋代の名品「浮牡丹文様青磁香炉」、中国清代の美しい琅
かん「翡翠游環香炉」を併せて展示致します。
鎌倉の初夏の光の中で、光と色彩が織り成す絵画のシンフォニーをお楽しみ下さい。