驚くほど高度な文明を築き上げた古代エジプト文明は紀元前3000年頃に生まれました。「ナイルの賜物」と呼ばれたその独特の文明はナイル河を中心とした自然のサイクルから生み出されました。人々は河川沿岸の緑地と広大な砂漠という明確なコントラストから人間の「生」と「死」を連想し、沈んだ太陽が必ずまた昇るということから、人は亡くなると永遠の命を得て来世で「再生復活」すると信じました。そして太陽の沈む西側を「来世=死者の町」としての神殿・王宮が造られました。今も残る多くの遺跡はこうした「死生観」の証ともいえます。本展では、多くのエジプトコレクションを所蔵することで名高い「ヒルデスハイム博物館」から黄金を施したミイラマスクや彩色木棺、そしてミイラなど114点が特別出品され、その多くは日本初公開となります。
これらのエジプト文明の遺物を通して古代エジプト人の「再生復活」への思いを探り、彼らが信じた現世から来世への道のりを辿ります。