「1968年に環境造形Qを結成して以来、わたしたちは一貫して<>をめざしてきました。それは台座の上にことごとしく据えられたり、いかにも芸術でございますといった作品ではなく、みずからのなかにひとびとを受け入れ、ひとびとの参加を待ってはじめて息づくような作品であり、さらにあたりの自然、太陽や地形、樹々や鳥、雨や風ともひびき合い語り合うものであってほしいとながいました。(攻略)」
本展は、1968年の環境造形Qの結成から1988年の解散に至るまでの3人による共同制作の検証を行うことで改めて日本におけるパブリックアートについて考察するものです。
そして今回は、環境造形Qの一員でもある小林陸一郎の新・近作の作品展示も同時開催いたします。
彫刻家・小林陸一郎は、近年の≪旅人の碑≫シリーズについて「不思議に出会って人は感動します。感動を立体として表現すれば彫刻になります。人生という旅の中で出会った感動を≪旅人の碑≫として造形化しました」と語っている。近年小林は、トルコのイスタンブールにあるミマールシナン大学での客員教授の傍らトルコ国内の3ヶ所で大理石による石彫シンポジウムに参加するなど精力的に創作活動をつづけている。
彫刻家・旅人の小林の作品の一つひとつに作家の人柄が窺え、私たちを時の移ろいや悠久の時に誘ってくれます。長年の環境造形Qのひとりとしての仕事と作家個人の軌跡を、新・近作の作品を中心にしながら紹介いたします。