18世紀の京都が生んだ異色の画家として、今日、伊藤若冲がすこぶる有名となりましたが、同時期の京都で若冲に勝るとも劣らない個性的な画風の作品を作り続けたのが曾我蕭白(1730―81)です。
蕭白は、若冲がその画風とは異なって至極穏和な性格であったのと比較して、画風もその性格も著しく挑戦的なものでした。ほとんど憤激を叩きつけたかのような作品をも、しばしば描いています。
ただし、蕭白自信が室町時代の曾我蛇足の末裔を標榜するように、基本的には日本の水墨画の流れに棹すものであることを自覚しており、墨の美しさを表現することに常に腐心してきたことも忘れてはなりません。
日本の水墨画の伝統に強烈な自意識を注入した絵画、それが蕭白画の真骨頂であり、現代人の美意識をゆさぶらずにはおかないでしょう。
本展では、著名なもののほか、多数の新発見および未展示の作品をあわせて展示します。また、在来の美術館や個人が収蔵する蕭白画や、イギリス、ドイツからも里帰りします。
この展覧会は、その作品のみならず、江戸時代を無頼の精神を武器に活躍した蕭白の人間性をも知ることのできる、またとない機会となるでしょう。