ギリシャの古代遺跡をモチーフに、新感覚の日本画の制作に取り組む村居正之氏は、1947(昭和22)年京都に生まれました。1968(昭和43年)、倉敷市出身の日本画家、池田遙邨に師事し、1971(昭和46)年日展に、翌年日春展に初入選し、画壇にデビューします。以後、日展、日春展を中心に作品を発表し、日展では2度の特選に輝きました。1994(平成6)年、1998(平成10)年、2004(平成16)年には日展審査員を務め、1995(平成7)年には日展会員となり、2005(平成17)年には日展評議員となっています。
その制作活動は、高層ビル群をモチーフにした作品から、哀愁漂う都会の風景やブラインド越しにビルが垣間見える室内をモダンなタッチで描いた作品に変わり、近年では、ギリシャの古代遺跡を取材し、静謐(せいひつ)な夜を表現するなど、京都画壇の伝統に、新たな息吹を吹き込みました。
さらにその画業から、日本・ギリシャ修好100周年記念切手とアテネオリンピック開催記念切手の原画をそれぞれ制作するほど、美術界内外から注目を集めました。
また、村居氏は岡山大学教育学部の非常勤講師を務める傍ら、岡山県内の日本画家の指導・育成にあたるなど、岡山とは深い関わりがあります。
本展では、初期のモダンな都会の風景から、幻想的なギリシャの古代遺跡を描いた近代まで20点余りを展示し、村居正之の世界を紹介します。