江戸時代の大名は、自らの嗜好あるいは大名間の交際の手段として、能や狂言などを藩邸で上覧したり、時には自ら演ずることもありました。
相撲もまた藩主の嗜好のひとつで、上位力士のなかには藩主に召し抱えられるものも数多く存在しました。これが大名のお抱え力士です。
お抱え力士は戦国時代から見られますが、当初は藩の武術奨励がおもな目的でした。しかし徐々に藩の力を誇示する傾向が強まり、江戸時代中期以降、大名は競って力士を召し抱えました。明治4年(1871)の廃藩置県により姿を消すまで、お抱え力士は大相撲の舞台で活躍しました。
今回は、江戸時代後期のお抱え力士を中心に、大名と相撲のかかわりについてご紹介いたします。