1920~30年代に油絵、写真など新しい技法による表現をした
作家たちは、 その日常生活にもモダンな雰囲気を求めました。
明治時代後半の1900年代のはじめから、芦屋は急速に住宅地として開けはじめ、西洋文化のモダンな香りがあちらこちらに見受けられるようになってきます。
小出楢重は、随筆『芦屋風景』で「私は散歩する度に南仏を思い出すのである」 と書きながらも土の白さと松葉の黒く堅い色合い、「建築が文化住宅博覧会である」 など調和がないことに腹立たしさを覚えたといいます。
そのいらだちを神戸に出かけてのむコーヒや洋菓子、中華街での買い物などで解消していました。
中山岩太は、ニューヨーク仕込みのテクニックでポートレート写真の人気を得ながら、 写真の新しい表現を求めました。吉原治良、長谷川三郎は、パリ帰りの上山二郎から最先端の情報を聞き、作品の構想を膨らませました。
本展では、芦屋に暮らした作家たちが、西洋文化を受け入れながらも自らのスタイルを生み出していった昭和の時代を絵画、写真、資料で顧みます。