朝鮮時代の絵画は中国絵画の伝統にならいつつも、朝鮮の自然美と儒教精神を織り交ぜて独自に展開していきました。今日民画や生活画と呼ばれる絵画はその一例であり、朝鮮絵画のもつ独自性が大いに見られます。学問崇拝を象徴し、立身出世を願った冊架図、迎春の吉祥飾りとして用いた鵲虎図、そして文字と絵で儒教精神を表現した文字図などは、その代表的作品です。それらは屋内の壁や屏風に貼り付けるなど、生活の側面に飾り、日常の願望や心情を表現して価値観を共有しました。
春季企画展では高麗美術館所蔵の絵画や工芸品を通して、朝鮮に溶け込んだ絵画の世界に入り、朝鮮絵画のもつ魅力をご堪能いただける機会となることでしょう。