独特の町人文化が栄えた江戸時代、江戸の町は世界最大の規模を誇る大都市でした。その繁栄を支えていたのが、商人や職人など町人階級の人々です。250年もの間平和が続き、庶民の生活は豊かになりました。彼らの住む下町は多様な職業で活気付き、子供たちはよく遊び、学んでのびのびと育てられました。
江戸の町にはたくさんの娯楽がありましが。最も賑わったのは芝居見物です。芝居は早朝から日暮れまで上演され、観客は思い思いに飲食や会話を楽しみ、役者の演技に熱狂しました。一方、芝居町と双璧をなしたのが遊郭吉原です。華麗な花魁はしばしば錦絵に描かれ、ファッションリーダー的な役割を果たしたりもしました。
さらに、街道が整備され宿場が充実してくると、伊勢神宮など社寺参詣を口実に庶民も旅に出るようになりました。また、花火見物など四季折々の行楽に興じたり、錦絵や読み物に熱中したり、ペットや園芸を嗜んだりと、江戸庶民の文化生活は驚くほど豊かだったのです。
本展覧会では、江戸に生きた人々の暮らしと娯楽の様子を、当館所蔵の100点余りの浮世絵から紹介します。