京都は古くからの都であるとともに、産業・商業都市の性格を併せ持つ日本の代表都市であり、時代の変革の波に度々洗われながらも、よく順応して常に別格の現役都市として存在してきました。
しかし、江戸時代後期以降、全国各地における商業や産業の発展により、その優位性に陰りが見え始めます。そこで、培われてきた技術や確立された商品の質等を打ち出すため「伝統と文化の京」が強調されます。いわゆる「京」ブランドの成立です。
その背景には、公家や寺社等様々な文化が相互に刺激し合いながら成立してきた京都文化の伝統があり、その中で育まれてきた職人の技、商人の知恵がありました。その後、明治維新や第二次世界大戦後の混乱、東京一極集中の政治経済体制等、様々な試練に直面しますが、京都の人々は培ってきた知恵と技で多くの困難を乗り越え、新しい価値をも付け加えながら、「京」ブランドは高い評価を保っていきます。
この展覧会は、京都ブームといわれる今、「商い」を柱にしながら、「京」ブランドが成立した背景と歴史を3部に分けて紹介し、そのことの持つ意味の一端を考えていこうとするものです。
第1部 京都の町と「京」ブランド
「京」という冠をつけることがブランドとして成立したのは、京都が平安京以来の都であり続けた歴史と伝統、その間に培われた確かな技術力が基礎になっています。
第1部では、「京」ブランドを生み育んだ京都の町の歴史とその独自性について紹介します。
第2部 町の風景・職人と「京」ブランド商品
公家や寺社、家元等の厳しい注文をこなしていくことが職人の技を鍛え、強い商品力を作りだしていきます。
第2部では、商いの風景や職人の姿と、数ある「京」ブランド商品の中から、染織・扇・陶磁器・菓子等について紹介します。
第3部 「京」ブランドの展開
「京」ブランドは、高度な技術と感性を常に磨きながら、新しい工夫や斬新な発想を取り入れ、その地位を保ち、高めてきました。
第3部では、近現代の「京」ブランドのありようを紹介します。