平塚市美術館では、開館以来、平塚出身の画家・鳥海青児(1902-70)の作品を継続的に公開してきました。作品収集のはじまりは開館以前にさかのぼり、総点数は現在160点以上を数え、国内随一のコレクションを誇っています。また、1993年には「鳥海青児展」を開催し、油彩を中心に鳥海青児の画業の足跡をたどり、1999年の「鳥海青児デッサン展」では、油彩には見ることのできない迫力ある線描表現を紹介しました。所蔵作品展でも常時展示し、鳥海青児の作品・人物の顕彰につとめています。
鳥海青児は、最初のヨーロッパの乾いた風景と日本の湿潤な風景との違いを強く意識します、四季折々の風景を油絵でどう表現したらよいのか、日本の油絵の創造という課題に取り組みました。本展では、当館所蔵の作品をメインに、他館所蔵の主要な作品、画材や書簡など関連資料を加えて、Ⅰ.初期の作品、Ⅱ.滞欧期の作品、Ⅲ.風景表現の模索-戦前の作品、Ⅳ.抽象的表現への移行-戦後の作品、Ⅴ.デッサンの魅力、の5つのセクションにわけ、鳥海青児の表現の探求を紹介していきます。翌2006年、開館15周年の節目をひかえ、初期から晩年まで網羅的にあるコレクションの全貌を、あらためて広く一般に公開し、鳥海青児の作品と人物の魅力に迫ろうとするものです。