今回茶道美術名品展と題しまして、第2展示室では、当館開館の際に一括寄附された山川美術財団の寄附作品を中心にして、所蔵品と寄託品の中から約50点を選び、次の三つの時代に分けて紹介します。
◇室町時代を中心とした茶道具
この時代は、中国から輸入された唐物が特に流行した時期で、それらを部屋に飾って鑑賞する「唐物数寄」の茶の湯が行われました。やがて床の間形式で行われる書院茶へと移り、さらに一休宗純に参禅した村田珠光によって、草庵による侘び茶の風が形作られ、和物の茶陶も取り上げられるようになりました。その心は武野紹鴎により深められます。ここでは南宋時代の「青磁袴腰香炉 龍泉窯」ほかを展示します。
◇桃山時代を中心とした茶道具
侘び茶は千利休によって大成され、禅僧の墨跡を床に掛け、和物の道具が数多く用いられるようになります。利休没後はその子少庵へと受け継がれ、利休門下の古田織部は、侘び茶の作為性が推し進められました。ここでは利休作「竹蒔絵浪に亀図二重切花入」ほかを展示します。
◇江戸時代を中心とした茶道具
織部没後、時代の茶風に大きな影響を与えたのは小堀遠州です。織部の新生面を受け継ぎながら、中国へ好みの茶陶(古染付、祥瑞)などを注文するなど、「綺麗さび」の茶風を創り出しました。また利休の孫宗旦や、金森宗和、本阿弥光悦らの活躍に加えて、諸藩の大名や武士、富裕な町人たちが茶の湯を愛好したことも、この時代の特徴といえるでしょう。こうして今日の茶道繁栄の礎が築かれていったのです。ここでは尾形光琳作「蒔絵螺鈿萩図雪吹」ほかを展示します。
このほか山川コレクションの中から、香合の優品をコーナー展示いたします。
主な展示作品
虚谷希陵墨跡 無因 虚谷希陵
柿釉肩衝茶入 銘早蕨 吸坂窯
阿蘭陀白雁香合 デルフト窯